ステンドグラス修理 東小金井の玉川上水そばの教会のパネルを修理しました!

仕事

 7月に入って、友人から教会の窓パネルの修理について、相談がありました。
少し仕事のことも書いてみようと思います。

ステンドグラスを始めて20年ほどになりますが、
現在は、東小金井で小さな工房・ステンドグラスなどの手作り工房をしています。

歩いて5分ほど、とても近くにある教会の窓パネル修理のご依頼でしたから、暑い夏の最中、とってもラッキーなご依頼でした。
早速、現場の状況を確認のためお邪魔しました。

ステンドグラス修理 東小金井、玉川上水そばの教会のパネル修理 現地確認、お見積り

教会は、こじんまりとしてモダンな煉瓦風建物です。
散歩コースにあるので、よく目にしていました。
お友達は、ここの信者さんでオルガニストの方。
作業の間、パイプオルガンの練習と言って
ぬくもりのあるあたたかな音色を奏でてくださいました。

修理部分は、建物の西側1、2階の窓に
十字架をデザインされたパネルの一部分。
1階の足元のガラスが割れて、
長らくテープを貼って 温存されていたそうです。

「パネル全体を外して修理するほどのダメージではないので、部分的な修理を希望」とのご要望でした。
割れた部分のガラスの状態を確認。割れたガラスを取り除いて、周りの枠をカットして部分的にガラスを取り替える作業としてのお見積りをお送りしました。

ステンドグラス修理 東小金井の玉川上水そばの教会のパネル修理 現場で作業

グルーチップというガラスのこと

割れていたガラスは、パネルの模様部分の左端下部で、グルーチップというクリアガラスに模様があるものに小さな塊が当たって割れた感じでした。
かなり勢いよく当たったみたいですが何が当たったのかは不明。

グルーチップガラスとは、羽毛やシダの葉っぱのようにも見える模様のついたクリアガラスです。
レースのような表情でとてもきれいなガラスです。

このガラスは、
サンドブラスト(砂を高圧で吹き付けてガラスの表面を削る技法)で擦りガラスを作り、その上に膠(にかわ)を塗り、乾いた膠をはがす際にガラス面が削られることでガラスに模様ができます。
ですから、まったく同じデザインはできないそうです。
霜のような模様から結霜(けっそう)硝子と呼ばれたり、膠(にかわ)を使うから膠硝子と呼ばれたりもしています。

ステンドグラスパネルの修理の仕方

ステンドグラスのパネルの修理には、大きく分けて2つあります。

  • 全体を外して裏返し割れた部分を修理するやり方と
  • 部分的に割れた部分を切り取ったり、パーツを変えて簡易的に修理するやり方

表の面を綺麗に見せるためにも、できるだけ外して裏側からガラス交換などの作業をしますが、
今回のように一部の小さな欠損の場合は現場で修理します。

ちなみに、歴史的な建物のステンドグラスなどの修復の場合では、全体を外し、枠部分からすべてのパーツを慎重に取り外し、綺麗にクリーニングやメンテナンスをしたうえで、新たにケイムという枠を組んで仕上げる全面的な修繕もあります。この場合は、とても大掛かりなので、大きな工房の先生とお弟子さんたちで作業されます。
私が少しの間、パネル工法の手ほどきをしていただいた光ステンド工房の平山健雄先生は、横浜市の開港記念会館のパネル修復をされた方です。

教会のステンドグラスパネルの現場で修理

ぴーすけ
ぴーすけ

ガラスを外すのって、ほかの部分を傷つけないようにガムテープで養生してから、周りの金属部分をカットし、めくりあげて、新しいガラスをセットするんだね。


今回のパネルは、思ったよりヒビが広がっていたので、縦53㎝×4.7㎝のガラス全体を交換することにしたのですが、1/4サイズのガラスでは縦が少し足りないので、デザインに合わせ途中にケイムを足すことにしました。

まず、割れたガラスの破片を取り除き、交換するガラスを細かくカットしながら取り除きます。
枠部分、ケイムの端をカットして慎重に幅広のワニ口で開き、新しくカットしたガラス2枚と間に加えるケイムを埋め込み、周りのケイムを閉じハンダ付け。
ハンダは水のように流れてしまうし、ケイムは溶けやすいので、ガムテープなどで接着場所を限定して慎重にコテを当てます。

ぴーすけ
ぴーすけ

立てたままのパネルのガラスの交換やハンダ付けなので、慎重に、
ガムテープなどを使い、周りを保護しながらの作業だから、ちょっと緊張!

お尻がやっとはまるほどの狭い空間、割れた部分が端っこだったので、工具の柄の長さが邪魔をする。。。

割りばしやら木端やら、あるものいろいろ利用して見ましたが、やっぱり平らなところで作業でき、裏からケイムを外せると綺麗にできるんだけどな~~~と内心思いながら、悪戦苦闘いたしました(^^)💦笑

皺を伸ばす作業に入ったところで、なかなか綺麗に伸ばせないので、建築士兼ステンドグラスの制作や指導もされている師匠にもアドバイスを仰ぎ、工法は間違っていないとのことでしたので、できるだけ、ワイヤーブラシで磨いて皺を目立たないようにしました。

左右対称のデザインなので、
右のガラス部分にダミーのケイムを紫外線硬化接着剤で張り付け、全体のデザインもとりあえず見た目にはわからないように工夫して、ガラスを固定させるためにパテ詰めし、三日間乾かしてから余分なパテを取り除きクリーニング。
ブラックパティーナでケイム部分を黒く染め、艶出し兼保護剤のポリワックスを塗って、ガラスをクリーニングして終了です。

ステンドグラス 東小金井 玉川上水そばの教会のパネル修理を終えて



ステンドグラスのパネルにしてもランプにしても、デザインから完成まで、とてもいろいろな作業工程があります。
デザイン画から型紙を起こし、型紙に合わせてガラスをカットし、一つひとつのパーツを研磨修正し、ガラスを並べ、時間をかけて型通りにしていきます。
ティファニーランプなどは、パーツ一つひとつに銅でできたテープを巻き、型通りに並べてハンダで組み立て、
ケイムを使ったパネルの場合は、パテ詰めをして綺麗にして磨き、
それぞれ組み立てが終わったら、ハンダ部分を茶色や黒色に染め、艶出し兼保護剤を塗って綺麗にクリーニングして仕上げます。
長い時間かけて手作りしますから、光を入れてガラスが輝くのを見るときはとても感動ものです。

それほど手間暇かけて作るものだからこそ、今回のように、心を込めて手作りされたパネルを元通りではないにしても、修理に携われることは、とても嬉しい作業となります。

おかげさまで、教会の方々には、作業中もとても喜んでいただけて、パイプオルガンのカノンや結婚行進曲の響きの中で、時々冷たいデザートの差し入れをいただきながらの快適な作業でした(^^♪
お仕事を紹介してくれた友人に心からの感謝❣

真夏の世の夢。。。♬
ちょっと苦労したけど幸せな作業でした(*^-^*)♬

ガラス七色委七変化♬
ステンドグラス・アミ工房
Nijiko777🌈

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